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新型コロナウイルスの対応の際に自治体に対する国の権限が明確化されていなかったことが課題となったことを踏まえ、政府は、感染症や災害など重大な事態が発生した場合に、国が自治体に必要な指示を行えるようにする地方自治法の改正案を決定しました。
2月29日の閣議で決定した地方自治法の改正案は、新型コロナの集団感染により県をまたいだ患者の移送が必要となったものの、国の権限に関する法律の規定がなかったため、自治体との調整に時間がかかったことなどを踏まえたものです。
具体的には、大規模な災害や感染症のまん延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を設けるとしています。
この規定をめぐっては自治体側から国との対等な関係が損なわれるのではといった懸念が示されたことから、改正案には国が指示を行う際には自治体に意見の提出を求めるよう努めなければならないことも盛り込まれています。
このほか、▽感染症などへの対応でも国が自治体間での職員の応援の要求・指示を行うことができるようにすることや、▽市や区が行う保健所の運営などの業務について、国の指示により都道府県が必要な調整を行うことも盛り込まれています。
サイバーセキュリティ強化も
地方自治法の改正案には、サイバー攻撃や情報漏えいの防止など自治体がサイバーセキュリティを強化することも盛り込まれています。
自治体がサイバーセキュリティを確保するための方針を策定して公表し、必要な措置を講じることを義務づけます。
また総務大臣は、自治体が方針を定めるのに参考となる指針を示すとしています。
このほかデジタル化の推進の一環として、自治体共通のQRコードを使って地方税を納付する「eLTAX」を活用し、国民年金保険料なども納付できるようにすることが盛り込まれています。
また、人口が減少する中で、地域住民の生活を支えていくために、市町村が自治会連合会や社会福祉協議会など地域で活動する団体を「指定地域共同活動団体」として指定し、必要な支援を行うことも盛り込まれています
松本総務相「国と地方の関係の一般ルールを尊重」
松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「改正案は、国と地方の関係の一般ルールを尊重した上で国民の生命などを保護するために、的確・迅速な対応を必要な限度で可能とするものと考えている。趣旨や内容について丁寧に説明していきたい」と述べました。